講習会

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量子コンピューティング入門

回数:全5回

形式:オンデマンド

主催:AIC

1)講習会概要

本講習会は、来るべきテクノロジーである量子コンピューティングを、量子力学の基礎から説明をすることで、初学者への足掛かりを与えることを目的とする。講習会の前半部では、量子力学の考え方や量子状態の表現方法、さらには量子回路の作用についての説明をできるだけ直感に適う形で与える。後半部では、いよいよ量子コンピューティングの画期的な活用事例である量子テレポーテーション、量子もつれを取り扱い、量子回路の構築に対する実感を伴う理解を促進し、量子コンピューティング特有の考え方に対する実感を伴う理解を要請することを目的とする。

2)各回の実施内容

第1回 量子力学の概要

本講義では初めに、人間の直感に反するような量子力学の非決定論的な描像を、電子スピンなどの具体例や、ヤングの実験などを扱うことで、できるだけ理解しやすい形での説明を行う。次に量子力学の不確定性を前提とした状態の表現について説明をし、量子ビットを用いてどのように情報が表現されるのかについての足掛かりを与える。最後に量子状態の表現についての演習を行うことで、ベクトル表示やケット記法についての理解を深めていく。

第2回 量子ビットとは何か

初めに、第1回で取り扱った量子情報の表現を用いて、量子状態がどのように表現されるのかを復習を兼ねて簡単に確認する。次に、そもそも古典ビットではどのように情報を表現していたのか、またそれに対応する物理的機構は何か説明を行う。さらに古典ビットとの比較において量子ビットを導入し、さらには複数量子ビットの状態のベクトルによる表現方法についても説明を行う。さらにそれらの理解の定着を深めるために量子情報の表現に関する演習課題に取り組んでいく。

第3回 量子ゲートの読み方

まず第2講で取り扱った量子ビットについて、ケット記法、ベクトル表記に触れる形で復習を行う。それを踏まえた上で、量子ビットに対して作用を及ぼす量子ゲートの説明を行い、様々な入力に対する量子ゲートの出力の求め方について確認していく。さらに、それを踏まえた量子状態の時間発展がユニタリ行列を用いて表現されることに触れ、量子ビットのゲートによる変換が、行列によるベクトルへの積と等価であることを説明していく。ここでユニタリ行列の性質をはじめとする量子計算に必要最低限な線形代数の基礎事項についても簡単に触れる。また、ユニタリ行列で表現される量子回路を具体的に提示し、量子状態に量子回路がどのように作用するのかを簡単な演習を通して確認できるようにする。

第4回 量子もつれのフシギ

前半部ではここまで導入した量子状態の重ね合わせ、量子ビット、量子ゲートについて体系的にまとめる。次に「測定」という概念を導入し、量子回路がどのように計算結果を取り出すのかについて説明を行う。、次に第5講で取り扱う量子テレポーテーションにおいて重要な役割を果たす量子もつれとBell不等式の破れについて理論的な説明を与える。ここで、量子もつれと「測定」の直感に反する関係について説明を行う。量子もつれの導入は、これまでの講義で取り扱った量子コンピューティングの基本的な考え方と整合が取れる形で行い、第1,2,3講の内容の復習を促すことも目的としている。

第5回 量子テレポーテーション

本講義では、第3回講義で導入した量子もつれを利用して情報を伝達する量子テレポーテーションについて説明を行う。いくつかの複雑な計算ステップについての説明に入る前に、そもそも量子テレポーテーションが何を目的としたアルゴリズムであるのかをまずは端的に提示することから始める。次に量子テレポーテーションにおいて行われる数学的な操作をいくつかのステップに分けて詳しく説明をし、それぞれについての具体的な量子回路を示す。最後に講習会のまとめとして、量子コンピューターの発展が社会に及ぼす影響や、現在山積する課題についても紹介を行う。

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