活動報告

イベント

「第1回 AICチャレンジ」を開催しました

2025.11.25  written by AIC企業企画

2025年11月25日、慶應AICは「第1回AICチャレンジ」を、INTLOOP株式会社、エクリプス・フーズ・ジャパン株式会社、住信SBIネット銀行株式会社、株式会社博報堂、株式会社Ridge-i(五十音順)の5社と共同で開催いたしました。
本イベントは、AI・テクノロジーの社会実装の促進と共創型人材の育成を目的に、企業が実際の事業課題を持ち寄る「1日完結型のビジネスコンテスト」として実施しました。

当日は、AI技術の最前線を担う各企業が提示したリアルな課題に対し、学生66名(15チーム)が挑戦。参加チームは限られた時間の中で戦略を立案し、徹底的な議論を重ね、成果を発表しました。

イベント前特別企画

本編スタートに先立ち、パナソニックで採用責任者の経験を持つ、小林真里AIC特任教授による特別講演「元採用担当が語る就活の裏側、AICチャレンジの参加者にだけこっそり教えます」を実施しました。元採用経験者ならではの視点から具体的なデータを交えて語られる就職活動の実態や面接時の評価ポイントに、多くの学生が熱心に耳を傾け、キャリア形成に対する関心の高さがうかがえました。

特別企画の様子

基調講演

続いて本編が開始し、開会挨拶に続き、慶應義塾大学理工学部 管理工学科の大澤博隆准教授より、「AIと関係性:技術と社会を作る」と題した基調講演が行われました。Human Agent Interactionを専門とする大澤准教授は、ロボットを活用した「変なホテル」の事例をあげ、AIが単に作業を代替するだけでなく、人間同士のコミュニケーションを活性化させる「触媒」として機能することの重要性を強調。講演の結びとして「AIを使って、いかに人と人をつなぐか」という問いが、これからの技術活用の核になるという力強いメッセージを投げかけました。

大澤准教授による基調講演

企業・テーマ紹介

続いて、参加企業5社(INTLOOP、エクリプス・フーズ・ジャパン、住信SBIネット銀行、博報堂、Ridge-i)が、それぞれの事業内容とAI活用状況、そして各社が設定したリアルなビジネス課題とその背景について説明しました。

企業・テーマ紹介の様子

各社から提示された課題(テーマ)は以下の通りです。

  • INTLOOP株式会社 「AIに代替されない人材を育成する、AIを活用した新人コンサルトレーニングの仕組み」
  • エクリプス・フーズ・ジャパン株式会社 「3年後『eclipseco』を始めとした植物性アイスの認知が拡大し、消費者が日常的に選択する商品となる戦略を考えよ」
  • 住信SBIネット銀行株式会社 「BaaSビジネスへの具体的なAI活用施策を検討し、提携企業ならびに顧客への価値提供を向上せよ」
  • 株式会社博報堂 「未来のバーチャル慶應生を作って、未来の働き方を考えよう」
  • 株式会社Ridge-i 「衛星データx生成AIプラットフォーム 『AI on TOP』を活用した、ソリューション・ビジネスアイデア創出ワークショップ」

ワーク

各企業の事業と課題(テーマ)への理解を深めた後、学生がチームに分かれてワークに取り組みました。参加者は限られた時間の中で、チームメンバーで力を合わせ、アイデア創出と具体的な戦略立案に集中して取り組みました。
ワークでは、企業の社員がメンターとして各チームにつき、密にコミュニケーションをとりながら議論をサポートしました。参加者は実践的なフィードバックを受けることで、アイデアをビジネスの視点から磨き上げ、提案の質を高めました。
また、ワークの途中には、エクリプス・フーズ・ジャパン株式会社より植物性アイスクリームが提供され、適度なリフレッシュを挟みつつ、会場は終日、熱気を帯びた状態が続きました。

テーマへの取り組み方を説明する社員の方
チームごとにディスカッションする様子

テーマ別発表

長時間のワークを終え、学生たちはテーマごとに分かれて発表に臨みました。
各チームは、練り上げたアイデアについてプレゼンテーションを行い、担当企業の社員との活発な質疑応答が行われました。
審査は、テーマごとに設定された独自の評価基準に基づいて、多角的な視点から評価されました。熱戦の結果、各テーマの中から最も優れた提案を行った1チームが選出され、最終発表(全体審査)への進出を決めました。このテーマ別発表は、学生たちが自らの提案を深掘りすると共に、他チームの多様なアプローチから多くの学びを得る貴重な機会となりました。

テーマ別発表の様子

最終発表

テーマ別発表で選出された代表チーム(計5チーム)が、最終発表に臨みました。審査員は各社の代表とAICの教員が務め、さらに参加学生も審査に参加する体制で行われました。
学生たちは、「未来の自分を推すための『推し活バンク』(住信SBIネット銀行株式会社テーマ)」「農作物の風評被害をなくすAI活用(株式会社Ridge-iテーマ)」など、各社の課題に対し独自の視点で生み出したアイデアを発表しました。発表後には審査員や学生との活発な質疑応答が行われ、提案の実現可能性や論理性が多角的に検証されました。
厳正な審査の結果、5チームの中から最優秀賞(1位)、優秀賞(2位)、敢闘賞(3位)が選出され、表彰式が行われました。

最終発表の様子

懇親会

イベント終了後には、懇親会が開催されました。学生と企業関係者、教職員が参加し、チームや企業の垣根を越えた活発な意見交換が行われ、会場は終始和やかな雰囲気に包まれました。

また、懇親会の中では、個人賞の表彰式も執り行われ、審査員の方々からは、イベント全体の総括的な講評が述べられ、学生の成果を称賛するとともに、今後の学びにつながるメッセージが送られました。

集合写真

終わりに

第1回AICチャレンジは、学生にとって企業のリアルな課題に向き合い、実践的なビジネススキルを磨く貴重な機会となりました。また、企業の皆様にとっても、学生の柔軟な発想と熱意に触れる有意義な場となったとしたら、AICとしても大変うれしく思います。

ご協力いただいた5社の皆様、ご参加いただいた学生の皆様、そして関係者の皆様に心より感謝申し上げます。今後もAICは、産学連携を通じた共創型人材の育成に取り組んでまいります。

審査結果

最優秀賞 

チーム:「No 風評!」 久保 光輝、小牧 裕美子、石塚 黎、小野 拓馬
テーマ:株式会社Ridge-i
「衛星データx生成AIプラットフォーム 『AI on TOP』を活用した、ソリューション・ビジネスアイデア創出ワークショップ」

最優秀賞 チーム「No 風評!」

受賞者コメント

  • 柳原代表、社員の皆様の助言、そして、強みを持つチームメイトのおかげで優勝することができました。AICチャレンジでは、第一線で活躍されている方々と直接ビジネスを考えるまたとない機会で、実社会と机上の空論の大きな溝を実感しました。学部学年を超えて熱意ある学生との出会い、刺激のある一日でした。(久保)
  • AI関連から起業まで様々な興味を持つ多様なメンバーから沢山の学びを得ることができました!また、企業の方々から直接アドバイスをいただくことで、ビジネスの世界ではどんな観点で評価をされるのか、ビジネスのプロの考え方を直接聞くことのできる貴重な機会となりました。(小牧)
  • 非常に有意義な時間を過ごせるイベントでした。はじめて AIC の活動に参加させていただいたのですが, 企業の方々からの手厚いフォローにびっくりしました。活動中には企業の方たちから直接フィードバックをいただくことができ, 様々なノウハウを得ることができました。起業、 就活について興味がある人にとってはおすすめです。(石塚)
  • AICチャレンジではとても有意義な時間を過ごすことができました。会社の役員の方などからフィードバックを受けながらAIの活用について考える機会はAICチャレンジにしかないと思います。上位に入るためには独自的かつ現実的なAIの活用法を考えることが求められます。そのため最初のアイデア出しに多くの時間をかけたのが今回の受賞に繋がったと考えています。(小野)

優秀賞

チーム:「With AI」 鈴木 夏、櫻木 雄一郎、宗 大和
テーマ:INTLOOP株式会社
「AIに代替されない人材を育成する、AIを活用した新人コンサルトレーニングの仕組み」

優秀賞 チーム「With AI」

受賞者コメント

  • 昨今のビジネスシーンにおいて重要性を増す「AI」をテーマとした本コンテストにて、優秀賞をいただき大変光栄に存じます。チームメンバーや企業の皆様との白熱した議論から得られた知見は、何よりの財産となりました。この経験を糧に、今後もイノベーションの創出に挑み続けたいと思います。(鈴木)
  • 人生で初めてビジコンに参加してみて、1位を取るために事前準備を十分したおかげで優秀賞を取ることができ、さらに自分の意見がチーム全体のコアアイデアになり、自分の発想がチームの賞に貢献できた経験はとても貴重でまた参加したいと思いました。(宗)

敢闘賞

チーム:「AirPodsをもらい隊」 郭 晨怡、登坂 翠、児島 千佳、豊福 一輝
テーマ:住信SBIネット銀行株式会社
「BaaSビジネスへの具体的なAI活用施策を検討し、提携企業ならびに顧客への価値提供を向上せよ」

敢闘賞 チーム「AirPodsをもらい隊」

受賞者コメント

  • チーム全員がBaaS口座を持っていなかったため自分たちをターゲットに設定したことや、現場社員の方々がメンターとして伴走してくださったことでBaaS事業への理解が深まったことが、リアルな課題設定と施策立案につながりました。今回の貴重な経験に心より感謝申し上げます。(チーム一同)

個人賞

INTLOOP株式会社 小野 日向汰

  • 企業が抱えている課題に対して実際に社員さんからお話を伺いながら議論し合うことができる大変実践的な学びの場でした。議論の中で、課題の本質を見抜く力やさまざまな視点から物事を見る力を身につけることができたのと同時に、企業や社会に対する解像度が高まりました。

エクリプス・フーズ・ジャパン株式会社 山市 晴喜

  • まずは個人賞を受賞できたことをとても嬉しく思います。今回のビジネスコンテストでは仲間との協力の大切さを強く実感しました。議論を重ねる中で新たな視点に触れ、自分の考え方がより柔軟になったことは大きな収穫です。今回の経験をただの議論にとどめることなく自分自身、そして社会のために活かしていくことが1番の目的だと思っています。

住信SBIネット銀行株式会社 塚本 紗也

  • AICチャレンジでは、企業が抱える実課題に対して多角的に思考し、提案する貴重な経験を得ることができました。個人賞という形で評価いただけたことを励みに、今後も社会課題に向き合った挑戦を続けていきたいと思います。

株式会社博報堂 林 智哉

  • バーチャル慶應生にインタビューをする際には、現在と未来でどう価値観が変わっているのかとともに、逆に現代と未来でどこの価値観が変わっていないのかも意識して質問しました。時代が移ることによって何が変わるのか、逆に何が変わらないのかを意識した1日となりました。

株式会社Ridge-i 戸倉 健登

  • この度は表彰いただきありがとうございます。 議論を通じ、「誰がお金を払うか」の明確化がビジネスロジックとして重要だと実感しました。また、4時間でその提案をまとめるにあたり、AIによる検索や資料作成が十分に活用できると知れたことも大きな経験です。 今回の学びを今後の研究やキャリアに活かしてまいります。
個人賞受賞者
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