活動報告
イベント
2021.12.02 written by
2021年10月7日~11月4日の5週間にわたり慶應AICとキオクシアがコラボしたアイデアコンテストを実施しました。
このコンテストでは、講義とグループワークを繰り返しながらAIについての知識を深めていきました。
講義では、世の中にあるAI技術について、AIマップ(*1)を参考にしながら活用事例と有効性について学びました。また疑似画像生成の講義も受け、所望する形状を得るため、設計図に工夫を施す、という作業も行いました。これによって半導体の設計技術への理解も深めることができました。
グループワークでは、参加者にいま現実で起きている課題について考えてもらい、それを解決するためのAI活用の企画をグループごとに作りました。そして、コンテストの最終日にグループごとにその企画を発表しました。
以下にコンテストの結果と参加チームの紹介をさせていただきます。
学部3年 理工学部 大道浩志
学部1年 理工学部 井上朝斐
テーマ:AIトリアージ
概要:トリアージとは、災害時など助けられる人数が限られている状況において、助ける人の優先順位や病院の選定をすることです。現状のトリアージはで30秒以内に判断を下さなければならず、正確性は70%となっています。AIがトリアージに関する判断を支援することにより、より多くの命を助け、正確性をもっと高めることが可能になります。
講評:トリアージという倫理的に難しい課題だったが、問題意識を明確にして数値目標も設定されていました。AI課題マップも細かいところまで考えられていたことが良かったです。
博士2年 政策メディア研究科 斎藤元文
学部3年 薬学部 木村美玲
学部2年 経済学部 長崎勝信
テーマ:メンタルドクターMAI
概要:日本には精神疾患による自殺者が多くいます。しかし、精神疾患は疾患の種類が多いこと、症状が栄養不足や睡眠不足の状態に似ているという理由から診断がとても難しくなっています。そこで、AIによって患者のSNSや診察時のデータを分析することで、正確な診断を下せるようになることができます。さらに、自分に関するデータを常にAIが分析してくれることで、AIに見守られる安心感により快適に過ごすことができるようになることを目指しています。
講評:難しいテーマに対して、AIが安心感を与えるという発想がチャレンジングに感じました。また、将来の展望まで提案していたところも良かったです。
博士2年 メディアデザイン研究科 Nakamura Kayoko
学部2年 理工学部 中嶋裕希
学部2年 経済学部 赤坂秋音
学部1年 理工学部 福田一充
テーマ:テーマパーク完全攻略
概要:日本を代表する、とあるテーマパークにはアトラクションが多く、どのような順番で回ればいいのかがわからないといったことや、混んでいて自分の乗りたいアトラクションに乗れない、といった問題があります。これを解決するため、AIがその時の状況、その時のメンバーに合ったルートを提案してくれます。これによって移動や待ち時間を極力短くし、利用者のニーズを最大限満たすことができます。
講評:既にあるアトラクションの待ち時間を表示するアプリと組合せて、未来の待ち時間を予測するという点が面白かったです。また、事前にQ&Aを作っていてわかりやすかったです。
学部3年 経済学部 藤井弘樹
修士2年 健康マネジメント研究科 平賀
学部3年 理工学部 奥土康太
テーマ:Well-being向上アプリ
概要:現代の個人主義の傾向、またコロナ禍による自粛生活のためメンタルの不調を訴える人が多くいます。しかし、コロナの感染リスクが怖くてなかなか病院に行くことは難しいです。そこで使用者の生活に関する情報を逐一集め、その人の精神状態をAIで予測し、最適化したデータを出力するアプリを考えました。例えば、悲しい時は気分を盛り上げるような音楽を流してくれます。これによって、メンタルの不調を治すのではなく、悪化するのを防ぐ、ということが可能になります。
講評:個人が気楽に使えるところがポイントだと感じました。また、AI課題マップがどんどん変化する構成が面白かったです。
学部3年 理工学部 塩田勇人
学部2年 法学部 宮内聡士
[本人希望により氏名の掲載を自粛]
テーマ:履修選択アドバイス
概要:履修選択の際、必修科目の科目数やバイトとサークルの時間を考慮して自分に合った履修を決めるのはとても大変です。これを解消するため、履修条件や興味分野を自分で入力することで、AIが自分に合った履修科目を提案してくれるものを考えました。あくまでもAIはアドバイスをするだけで決めるのは自分であること、また学生の履修科目のデータを就活や起業の仲間探しに発展性があることがポイントです。
講評:学生にとっては身近な課題でテーマはシンプルでしたが、発展形として就活など様々な用途に使える点が良かったです。
・一連のプロセスを体験して学びが多く、またとても楽しかったです!
・たくさんの人の意見を聞くことができたので、自分の中の世界も大きく広がりました!
・AIについて、様々なことを知ることができ、勉強になりました。最新技術よりも人に注目するということに、はっとさせられました。
・ディスカッションに苦手意識があったのですが、企業の方のおかげで固すぎない空気の中でディスカッションを行うことができ、議論を深めて課題の解決策を模索していく面白さや楽しさを体験することができました。
コンテストの最後にキオクシアの方々、慶應AIC関係者、塾生など表彰式に参加した全員で写真を撮影しました。
イベントの立案に加え、イベント中のディスカッションではファシリテーターとして議論を活性化して下さったキオクシアの社員の皆様、コンテストの企画・運営をして下さった皆様、イベントに最後まで参加して下さった塾生の皆様ありがとうございました!!
受賞チームには表彰状と景品を贈呈いたします。
謝辞
キオクシア株式会社の伊藤剛様、 鳥井修様、 瀧日慎志様、 柄木田万平様、 山田寛之様、 下山章様、 高橋伊知郎様をはじめ、多くの皆様の多大なサポートに心から感謝いたします。
慶應AIC コーディネータ
矢向高弘、 泰岡顕治、石川繁樹、 伊藤浩之、 伊川ひづる、 竹迫真由子
運営学生
堀地竜成、 橋本翔太、 岩瀬正幸
(*1):引用 人工知能学会「AIマップβ 2.0 (2020年6月版)」